ドクター山見 公式ウェブサイト:ダイビング医学・潜水医学 diving medicine 減圧症(decompression sickness)  
    症状
 気泡が発生した部位に応じて症状が出現します。発生した気泡の量によって重症度が異なります。よって自覚症状の部位と程度は多種多様です。症状は、四肢の関節痛・筋肉痛(いわゆるベンズ症状)、四肢のしびれ感・違和感・筋力低下・倦怠感(中枢神経障害)、めまい・難聴・耳鳴り(前庭神経障害)、息切れ・呼吸困難・胸痛・胸部の違和感(呼吸器症状)、皮膚のかゆみ・発疹(皮膚症状)、頭痛または頭がぼーっとする(頭部症状)、四肢の浮腫(リンパ症状)などです。レジャーダイバーの減圧症では、関節痛・筋肉痛の痛みの程度は軽く、ほとんどのケースにしびれ感(中枢神経障害)を伴います。四肢のしびれ感は末梢側に多く出現し、自覚的にはチクチクするまたはジーンとした違和感として感じます。

  減圧症の古典的分類
  よく知られている病型分類にUS Navyが提唱したI型、II型、III型分類があります。
  I型減圧症は、関節や筋肉に痛みまたは違和感が出現するタイプ(ベンズといわれる)、またはかゆみや発疹などの皮膚症状を起こすタイプ(皮膚型)です。II型減圧症にはいくつかのタイプがあり、中枢神経が障害されるタイプ(脳型または脊髄型)、めまいを起こすタイプ(メニエール型)、呼吸困難や胸痛などの胸部症状を起こすタイプ(チョークス)などです。
  関節や筋肉症状、または皮膚症状があっても、何か他の症状があればII型に分類されます。皮膚型(皮膚に気泡ができるタイプ)の症状は、中枢神経型のしびれ(皮膚の知覚障害)と似ていることがあるので間違わないようにしなければいけません。また、皮膚型減圧症は、一般には軽症として扱われますが、しばらくしてから重症の中枢神経症状が出現することがあります。III型は、後述する動脈ガス塞栓症と合併しているもの、または鑑別困難なものです。
  レジャーダイバーでは、I型が約20%、II型が約80%、III型は数%です。一方、職業ダイバーでは、I型減圧症が約80%、II型減圧症が約20%、III型は数%です。発症率は、レジャーダイバーのほうが圧倒的にII型減圧症が多い傾向にあります。
I型を軽症減圧症、II型を重症減圧症と解釈されがちですが、これは古い考え方であり、実際にはそれほど単純なものではありません。レジャーダイバーにおける減圧症は、軽症II型が多い傾向にあります。


    潜伏期
 発症時期は、潜水終了後から数日以内です。しびれなどの中枢神経症状は、重症なものほど潜水終了後早期に発症します。潜水終了後1時間以内の発症頻度は、レジャーダイバーでは約50%程度です(職業ダイバーでは80%以上)。72時間以上経過して発症するケースもあるため潜伏期間が長いというだけで減圧症を否定することはできません。
   

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